• HOME
  • 武藤真祐と対談(石田一雄 氏)

石田 一雄 氏(富士通株式会社 副社長) 「医療のソーシャルビジネス化とIT」

石田 一雄 氏石田 一雄 氏|プロフィール(2011年11月現在)詳しく知る

1974年 富士通株式会社入社
2003年 アウトソーシング事業本部長
2004年 経営執行役
2006年 経営執行役常務
2010年 執行役員副社長
2010年 取締役執行役員副社長

対談内容

東日本大震災により大きな被害を受けた石巻市で地域医療再生をめざして、祐ホームクリニック石巻が9月にオープンしました。超高齢社会を迎える日本での新しいコミュニティモデル「高齢先進国モデル構想」を実現すべく、都市部から実証をスタート。石巻においても医療復興とともに本モデルの推進にも取り組みます。
今回は、IT分野で全面的に協力をいただいている富士通株式会社の石田一雄副社長にこれからの医療におけるIT活用について語っていただきました。


私は元々、大学病院などで急性期医療を行っていましたが、地域の中で高齢者の方々が孤立し、孤独である状況を知るに至りました。超高齢社会を迎えるにあたり、ますます大きな課題となります。医療者として解決したいと思いましたが、医師や医療機関ができることには限界があり、社会インフラそのものを作っていかなければ解決できない課題であると感じていました。
そのとき富士通株式会社と出会い、思いを共有することができ、御社の様々な機能やノウハウをもって、新たなコミュニティ創りに共に取り組むことができることに、大変感謝しております。
石田 一雄 氏と対談01 私たち富士通は、長年、医療機関のIT化を推進していますが、6,7年ほど前、医療機関へのITインフラ導入のお手伝いをしている中で、「自分たちが医療現場に本当に根を下ろしているのか」ということに考えさせられました。
21世紀の医療では、新しい制度や仕組みの問題へ国家も取り組みますが、コンピュータの使い方もこれまでの延長ではなく、少し違う仕組みもあるだろうと考え、新たなITへ脱皮していくための研究も行ってきました。
そうした中で、武藤先生と一緒に進んでいくことになり、地域に住んでいる人が幸せになるために地道に尽力したいと考えています。
私は東京都文京区で在宅医療を開始し、都市から日本を変えていこうと考えていました。しかし、3月11日の東日本大震災により甚大な被害をもたらされた石巻市を訪問し、私たちができることは何かを考えたとき、この地で在宅医療を行う必要性からクリニックを立ち上げることにしたのです。
そこに御社で作っていただいている在宅医療クラウドや、電子カルテの仕組みなどを連結して、新しいコミュニティを作っていこうという活動が始まりました。医療とITが一緒になって新しい姿を構築するということです。
石田 一雄 氏と対談02 武藤先生が都市部と地方での高齢先進国モデルへ取り組む狙いは、2拠点をクラウドでつなぎ情報の連続性を担保することで、今後は、在宅医療専門診療所だけでなく、他の医療機関や訪問看護事業所や介護事業所、病院ともデータでつながっていく連携をめざしていると理解しています。
私たちは、在宅医療クラウドや遠隔診療支援、高齢者の見守りシステムなどで地域の診療所を支援し、来るべき超高齢社会で高齢者の生活全体を支えるコミュニティ創りの一翼を担いたいと考えています。武藤先生の考えや活動に全面賛同し、共に活動していきますので、いろいろとご要望を出していただけたらと思います。
私は医療をソーシャルビジネス化する必要性を常々申し上げています。私は一時期、マッキンゼーというコンサルティングファームに在籍し、ビジネスの場で多くの人たちと連携しながら新しいものを作っていくことの価値を知りました。医療はビジネスの世界と異なり、国の保障部分が大きく特殊な構造の社会インフラです。
医療を担う人たちはそのことを認識すべきと考えます。自分たちが行っていることが国や制度に支えられたものであるからには、医療行為のみならず、医療を核としながらより社会性を持った存在であることが求められると思います。限られた国家予算の中で、ある程度の経済循環性を持って医療を考えなければならないという面もあります。
医療という社会性の高い活動に、ある種ビジネス的な視点を取り入れ、より医療の役割を発展させることができればいいと考えています。御社にご指導いただきながら、構築していきたいと思います。
先生の頼もしい言葉を伺うと、我々も「もっとやらなければ」という思いになります。私は子供の頃、転勤家族で東北の様々な地域でお世話になりました。当時は、学校の先生や医師は、地域社会でステイタスがあり、地域の柱のような存在であると感じています。それをなくさぬよう、社会としても支える責任があると感じています。
医療情報のクラウド化や遠隔医療の仕組みは、特に医療過疎地と言われる地方部の悩みを解決する可能性があります。医療資源が少ない地域でも、住民に一定の安心をもたらしうる仕組みです。
私は、宮城県石巻市と東京都文京区のクリニックにおいて、その可能性を実証したいと思いますし、その成果を私が委員を努めます内閣官房のIT戦略会議を通じて広く社会に還元したいと思います。私は、ITは一人ひとりの住民に便益をもたらし、困っている人を救うことができる手段であることを国に示していきたいと思っています。
私には離れて暮らす両親がいます。
お医者さんもあまりいない地方部に居るものですから、身体のことも含め色々心配しています。地域の医師に診てもらいたいとも思いますが、多忙な医師にあまり手をかけても良くないとも思います。こういった思いをするにつけ、家族への情報提供も必要だと感じます。
石田 一雄 氏と対談03 本当にそうですよね。都市部にいるお子さんたちが地方にいるご両親を思いやる気持ちに応えるサービスはまだ発達していません。私は、家族の中での見守りや情報共有についても取り組みたいと考えています。
町の医師がご両親を診たときの医療情報をSNSのような形で離れて暮らすお子さんと共有したり、何かあったらすぐに連絡できるという仕組みができるといいと思います。
お子さんは大変安心ですし、またご両親も息子や娘に見てもらっている安心感があります。ご両親からの「お医者さんに言われたことを息子に聞かれるけど、うまく伝えられない」との声にも応えることができます。 私たちはまず、電子カルテによる医療者間での情報共有に取り組みますが、その情報を、本来の情報の保有者であるご本人や家族の安心に繋げることができるよう、取り組みたいと思います。ゴールはまだまだ先ですが、サービスが生まれ普及するのは、恐らくここ1〜2年が勝負ではないでしょうか。
情報共有には大きな意味があることを実感します。「何もなければ連絡しない」と親に言われても、何かあったときには連絡できないわけですから、やはり心配です。
これまでとは違う新たな家族のあり方、コミュニティのあり方を社会に提案していきたいとも感じています。武藤先生には期待し、私たちも全面的にご協力したいと考えます。
こちらのほうこそ、御社には大変期待申し上げております。ぜひ実現していきたいと思います。 今回、被災地で初めて新しく開設した常設クリニックということもあり、石巻の診療所は、全国の心ある医師が支えてくださっています。
このことは、医療再生を超え、新たな地域医療の復興への期待とも感じています。 富士通株式会社とは、これからもご一緒に取り組んでいくにあたり、ご支援ご協力をお願いいたしたいと思っております。今後ともどうぞ、よろしくお願いいたします。

この対談をPDFでダウンロードする

武藤 真祐(聞き手)
武藤 真祐|医療法人社団鉄祐会 祐ホームクリニック 理事長 詳しく知る

1990年 開成高校卒業
1996年 東京大学医学部卒業
2002年 東京大学大学院医学系研究科博士課程修了
2010年 祐ホームクリニック開設
2011年 祐ホームクリニック石巻開設
内閣官房高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部 医療分野の取組みに関するタスクフォース構成員
みやぎ医療福祉情報ネットワーク協議会 システム構築委員会 委員
石巻市医療・介護・福祉・くらしワーキンググループ委員
経済産業省地域新成長産業創出促進事業ソーシャルビジネス推進研究会委員等公職を歴任

石田 一雄 氏と対談

ページトップへ